COMPLETE MISSION
劇場版コンプリートミッション
Blu-ray 版 好評発売中!
T4ブルーインパルスの機体をじっくり紹介
大空を舞うブルーインパルスの数々
第1区分 コックピットリアル体感(60分)
2017年3月 航空自衛隊松島基地での訓練風景を搭載カメラによって撮影
収録課目
エンジンスタート
タキシング
ダイアモンドテイクオフ&ダーティーターン
ローアングルキューバン
ロールオンテイクオフ
ファンブレイク
4ポイントロール
チェンジオーバーターン
インバーテッド&コンティニュアスロール
レインフォール
バーティカルクライムロール
スローロール
チェンジオーバーループ
ダブルナイフエッジ
レターエイト
オポジットコンティニュアスロール
4シップインバート
キューピッド
ラインアブレストロール
360°&ループ
ワイド・トゥ・デルタループ
フェニックスロール
フェニックスループ
ボントンロール
スター&クロス
タッククロス
ローリングコンバットピッチ
コークスクリュー
ランディング
タキシング
劇場版 マニューバー解説
解説 山崎隆一
航空機で使用する単位はメートル法ではありません。作品の中で使用されている単位は
距離=ノーティカルマイル(海里)nm=1 nm = 1.852 km
高度=フィートft=1 ft = 0.3048 m
速度=ノットkt=1 kt = 1.852 km/h
となります。
この単位は航空発祥がアメリカ合衆国であるため
同国で使用されていたヤードポンド法に準じて現在では世界的な航空機の運用基準となっています。
また方位は北を基準に0°として、右回りに360等分された角度で呼びますので南は180°西は270°となります。
Chapter.2 エンジンスタート
エンジンスタートの前に、各スイッチなどが所定の位置にあるかを確認してスタータースイッチをONにします。
エンジンの回転計と温度計、油圧、油温を確認しながら異常がないか確認しています。
エンジンが異常なく始動出来たら、機体各部のコントロールチェックを始めます。
車輪のブレーキ、スピードブレーキ、各柁面が正常に機能しているか確認しています。
異常がなければフラップを離陸モードにセットします。最後にイジェクションシートのロックを外して準備は完了です。
準備ができたところで全機同時にランディングライトを点灯させ、キャノピーを閉めます。
松島グランド(地上管制)に滑走路までの移動の許可を求め確認後いよいよ出発です。
Chapter.3 タキシング
航空機を滑走路まで移動させながら今一度安全のために各部異常がないか確認しています。
松島タワー(飛行場管制)に滑走路侵入の許可をもらった後、4番機は左側(風上側)につきます。
横風の方向によって4番機の位置は変化します。
Chapter.4 ダイアモンドテイクオフ&ダーティーターン
松島タワー(飛行場管制)から離陸許可をもらい、気圧高度計をセットして所定の位置につきます。
「Blue Impulse run up」のボイスで左側のエンジンからエンジンのランナップを行い
右側のエンジンランナップの際にスモークもチェックします。
「#1 push up」でスロットルを所定の出力にセットして「#1 release brake now」のボイスでブレーキを解除します。
速度が100ktに達したところで1番機がコールします。
約110kt〜120ktで離陸しすぐに4番機は1番機の後ろに入ります。
所定の位置についたら「OK」とコールします。
車輪とフラップはそのままにして直ちに左に旋回し速度180kt〜200ktで700ftまで上昇してスモークON
旋回が終了した時点から徐々に高度を落としながら会場に侵入します。
この時会場からきれいなダイヤモンド隊形になるように4番機は微妙な位置を調整しながら飛行します。
Chapter.5 ローアングルキューバンテイクオフ
ダーティーターンのスモークオフのタイミングでブレーキを解除。
離陸後ピッチ角を低く取り車輪を格納して240ktまで加速。約3G〜4Gで引き起こしループを行います。
頂点では速度約150kt高度2500ftでここから1 1/2回のロールをしたのち300ftまで降下します。
Chapter.6 ロールオンテイクオフ
5番機が戻ってくるタイミングでブレーキを解除。
170ktまで加速したのち引き起こして30°ピッチになったら右ロールを開始します。
頂点では高度700ft〜800f 速度160kt〜180ktでロール終了後車輪とフラップを格納し
そののち6番機はコントロールチェック(各操舵に不具合がないかチェックする)を行います。
Chapter.7 ファンブレイク
ローアングルキューバンテイクオフを行った5番機は上昇しアクロエリアの雲の様子を確認し1番機に報告します。
アクロエリアの裏側には雲がないのでSKC(スカイクリアー)とコールしました。
4番機は1番機の後ろにつきダイヤモンド隊形を形成します。
この時の各機の距離は最短で0.9mに達します。
高度は300ft速度380kt〜400kt 60°〜70°のバンクで3Gで旋回します。
この時4番機は会場から見てきれいなダイヤモンド隊形になるように位置を微調整します。
ファンブレイクが終わったところで1番機から4番機までの4機はコントロールチェックを行います。
この間に5番機が再度正面の雲の様子を確認して1番機に報告して1番機の判断で第一区分を行うことを決定します。
Chapter.8 4ポイントロール
会場左手から5番機は高度300ft速度400ktで進入して90°づつ4回に区切ってリズミカルに横転します。
一定の高度を保ちながら手と足でコントロールをするためにきわめて高度な操縦技術が必要な科目です。
Chapter.9 チェンジオーバーターン
コントロールチェックを終えた1番機から4番機、6番機は縦一列のトレール隊形に集合します。
高度は700ft 速度は370kt〜380ktで進入し準備ができたところで6番機が「rady」とコールして1番機が確認して「roger」とコールします。
1番機の「CHANGE OVER TURN let’s go」で右旋回を開始すると同時に1辺が約100mのデルタ隊形に移行します。
180°旋回したところで1番機の「Make delta」のコールで1辺約40mのデルタ隊形に移行します。
この時すべての機体が2番機の動きと3番機の位置関係に合わせ徐々に等間隔で隊形を変更します。
1番機の「Smoke charlie」のコールはスモークを切ってチャーリー隊形に移行することを意味します。
1番機のスモークのコールは「#1 smoke」とコールして切るときは「smoke」です。
これは第一編隊と5番機6番機の第2編隊でスモークのコールを変えることで間違えを防いでいます。
5番機6番機は「#5 smoke on」「smoke off」とコールし1番機とは違います。
また隊形には A アルファー隊形 B ブラボー隊形 C チャーリー隊形 D デルタ隊形とあり
アルファー隊形が一番タイトな隊形で、デルタ隊形が開いた隊形です
Chapter.10 インバーテッド&コンティニュアスロール
会場左から高度300ft 速度400ktを維持しながら5番機が進入します。
右に180°ロールして背面飛行になり正面を通過します。
左ロールで復帰した後に引き起こし4000ftまで一気に上昇してもう一度右ロールで背面になります。
その後2/1ループを3.5G〜4Gで引き起こし会場正面にもどり右に3回転のロールを行います。
5番機が演技中に第一編隊はクロスフィードバックチェックを行っています。
T-4アクロ機の場合左右の燃料タンクの片側にスモークオイルを搭載しており
ここまでの科目ではバランスをとるために燃料の多いほうのタンクの燃料を使用しています。
このチェックポイントで両側から燃料を供給するようにスイッチを切り替えています。
Chapter.11 レインフォール
インバーテッド&コンティニュアスロールが終了した時点で
1番機は現在位置で課目の遅れを「10秒遅れ」と報告しています。
ここで速度や機動を調整してずれを修正します。
「ヘディング340」のコールで会場正面から1番機〜4番機、6番機の
5機で高度1000ft速度370kt〜380ktで進入してデルタ隊形でループ機動で6000ftまで上昇します。
頂点の直後に1番機のコールでスモークON
「Break ready now」で左右60°づつのブレイクを行い1000ftでレベルオフ(水平飛行)に移行します。
1番機は各機の高度がそろうように方位と高度をコールしています。
その後「spire」のコールでスピア隊形に集合します。
Chapter.12 バーティカルクライムロール
会場左側から高度300ft速度400kt〜430ktで進入し6G〜6.5Gで垂直まで引き起こし
4 1/4回転の右ロールを行いながら高度9000ftまで上昇します。
その後雲の状況などを確認して6番機とハーフスローロールを行うため6番機の位置を確認します。
バーティカルクライムロールが終了した時点で1番機が「5秒Ahead」とコールがありまた。
次の4機課目チェンジオーバーループの開始に対して5秒早い位置にいるので
機動と速度を調整して予定のタイミングになるように調整します。
Chapter.13 スローロール
会場左側から高度300ft速度400ktで進入した6番機はゆっくりとした機動で右ロールを行います。
この課目はエルロン(補助翼)ラダー(方向柁)エレベーター(昇降柁)を
バランスよくコントロールする高度なテクニックを必要とします。
課目終了後すぐに5番機を確認して「visual」とコールしその後6番機は5番機と集合します。
Chapter.14 チェンジオーバーループ
3番機の後ろについた状態で4番機は「ready」とコールします。
会場後方から高度500ft速度380kt〜400ktで縦1列のトレール隊形で進入し
「CHENGE OVER LOOP let’s go」のコールで3.5Gで引き起こしを開始します。
「Diamond」のコールでダイヤモンド隊形へ移行、高度5500ftに達した後「Right roll now」で右ロールを開始します。
この課目の終了時点で5番機と6番機は「#5 5秒遅れ」とコールしています。
ここから次のダブルナイフエッジ開始までの間で機動と速度を調整しタイミングを合わせます。
Chapter.15 ダブルナイフエッジ
視認のための5番機のスモークを確認して集合した5番機6番機は会場右から侵入して共に左90°のバンクを行います。
機体が90°傾くと主翼の揚力がなくなるためラダー(方向柁)と速度のコントロールで飛行します。
Chapter.16 レター8
ダイヤモンド隊形の準備ができた時点で4番機が「ready」とコールします。
5機の隊形や6機の隊形では一番後ろにつく6番機がコールします。
速度300kt高度1000ftで会場後方から侵入した4機は
「LETTER 8 let’s go」のコールで1番機〜3番機は右旋回4番機は6Gの左旋回を開始します。
4番機は360°旋回したのち右方向へ旋回し1番機〜3番機と集合します。
Chapter.17 オポジットコンティニュアスロール
会場の右方向から5番機左方向から6番機が高度300ft速度420kt〜430ktで
3回転の右ロールをしながら会場正面で交差します。
課目中の風向や風速によってそれぞれの操舵や速度を加味し交差する高度なテクニックを駆使した課目です。
Chapter.18 4シップインバート
課目に入る前にオペラ(オペレーション)から鳥に関する情報が入ります。
低い高度で演技するブルーインパルスはバードストライク(鳥との衝突)を回避する必要があります。
常に各機、地上管制などからの情報を共有し危険を回避しています。
速度400kt高度300ftデルタ隊形で進入した4機は一旦離れ
「4SHIP INVERT inverted now」のコールで右ロールをして背面飛行になります。
背面飛行で‐G となり上下左右逆となる操舵で、これも極めて高いテクニックが要求される課目です。
4番機はこの課目の終了と同時に4機編隊から離脱して5番機6番機の描くハートを射抜く矢になるため会場正面奥に回り込みます。
Chapter.19 バーティカルキューピッド
横1列に並んで会場正面から侵入した5番機と6番機は85°ピッチで上昇し5番機の
「Smoke on」を合図に左右に分かれます。
この時ハートの形を美しく見せるためスモークの開始は少しずらして行います。
最大高度7200ft速度180ktから最初は多く、徐々にピッチを緩めきれいなハートを描きます。
高度が2500ftに達し5番機と6番機がハートを描き終わるタイミングで
4番機は速度400kt 30°のピッチ角でハートを射抜きます。
Chapter.20 ラインアブレストロール
1番機〜3番機はアブレスト隊形(横1列)で会場に向かって速度370kt〜380kt高度1000ftで進入して
2G 30°ピッチのロールを行います。
2番機と3番機は基準となる1番機を真横に見ながらゆっくりとしたロールを行います。
この課目の終了後4番機6番機と集合するため1番機の飛行方位とエンジンパワーをコールし再集合しやすくしています。
Chapter.21 360°&ループ
会場左側から高度500ft速度300ktで進入した5番機は80°のバンクで4.5G〜5Gの左旋回を開始します。
1回転したのち4.5Gで引き起こしループを行います。
会場から見て真円になるように速度と引き起こしをコントロールしています。
Chapter.22 ワイドトゥーデルタループ
速度370kt〜380kt高度500ftで会場後ろからデルタ隊形で侵入した1番機〜4番機、6番機の5機は
「WIDE TO DELTA LOOP let’s go」のコールでループを開始します。
「one more let’s go」のコールで隊形を小さくしていきます。
この課目終了後、各機は残燃料をコールして確認します。
一般的に空気密度が低い夏場は燃料を多く消費し、場合によってはこの課目以降を変更することもあります。
Chapter.23 フェニックスロール
速度370kt〜380kt高度1000ftフェニックス隊形で会場左奥から侵入した6機は
2G 30°ピッチでゆっくりとロールします。
隊形の外側に位置する6番機と5番機は大きな動きで
1番機のロールに追従するので全く違った操舵をしてロールをします。
Chapter.24 フェニックスループ
フェニックス隊形を維持したまま6機は会場左手から速度370kt〜380kt高度500ftで進入し
3.5Gで引き起こしループを行います。
速度180kt高度5500ftで頂点に達し500ftでレベルオフ(水平飛行)に移行します。
一般的にループは上昇すると減速します。これによって小回りになりきれいな円形にはなりません。
そこで減速に合わせてピッチゆるめてきれいな円形になるように飛行します。
Chapter.25 ボントンロール
速度400kt高度500ftで会場左奥からデルタ隊形で侵入した6機は
「 BONTON ROLL Smoke now」のコールで一斉に左ロールを1回転行います。
6機全員のタイミングを正確に合わせるために毎回飛行前のブリーフィングで確認しています。
Chapter.26 スタークロス
会場後方から1番機〜4番機、6番機の5機がデルタ隊形で進入したのち85°ピッチで上昇します。
「Brake ready now」のコールで75°づつ違った方位へ散開します。
ここからスプリットS(背面飛行から操縦かんを引き水平飛行に移行)を行い「Right turn now」のコールで
各機右に15°旋回します。「Smoke now」と同時に向かい合う番機のスモーク開始点を目指して飛行します。
このとき1番機は各機のスピードが同じになるようにスピードをコールしています。
6番機はこの課目の終了と同時に5番機と集合して次のタッククロスを行います。
Chapter.27 タッククロス1
集合した5番機と6番機は会場正面奥から速度400kt高度300ftで進入してきます。
「Inverted let’s go」のコールで背面飛行に移行し「Cross turn now」で左右に分かれます。
「Pull up」で65°ピッチ5.5G〜6Gで引き起こし2 1/2のロールをしたのち「Sprit S ready」で
速度240kt高度4400ft、スプリットS(背面飛行から操縦かんを引き水平飛行に移行)を行い
会場正面で背面飛行ですれ違う。2機のタイミングと正確な操縦技術が必要な課目です。
Chapter.28 ローリングコンバットピッチ
速度300kt高度500ftで会場左奥から侵入してきた1番機〜4番機は緩やかに上昇し
1番機から順番に右に約250°のロールを行い編隊を解散し
着陸に向けて各機の距離をとり着陸態勢へと移行します。
Chapter.29 コークスクリュー
タッククロス1で会場左右に分かれた5番機と6番機は再度集合して会場正面から速度300kt高度500ftで進入します。
「CORK SCREW let’s go」のコールで5番機は背面飛行へ
6番機はバレルロール(樽の内側をなぞるようなロール)を3回転行います。
「Break ready now」のコールで左に70°4G〜5Gで2機そろって旋回し着陸態勢に入ります。
Chapter.30 ランディング
1番機が松島管制塔へ「ブルーインパルス 松島タワー コンプリートフィールドアクロ
ウエストベース ゴー フルストップ」とフィールドアクロは終了
西側のベース(ブルーインパルスのエプロンまで行って止まる旨を伝えます。
「ブルーインパルス ランウエイ25 クリアード ラン ウインド 170 アット クロスウィンド フロムレフト」
管制塔はブルーインパルス滑走路25(滑走路の方位を36等分した呼び方で
松島基地では東から着陸する際は25、西から着陸する場合は07になります。)に着陸を許可します。
170ktの横風が左方向からあります。と許可が下りました。
その後管制塔から「QNH3013」と指示があります。これは気圧高度計の設定を3013in-hg にセットしてくださいという指示です。
この気圧でセットすると松島基地の海抜高度と高度計の指示高度が等しく表示されるようになります。
その後安全のために管制塔は各機の車輪が下りたかどうかをチェックします。
さらに着陸直前に横風の様子を今一度コールします。
この160ktの横風に対処するため期首をあらかじめ風上方向の左に向けて飛行します。
着陸後減速して誘導路に入ります。ここで今一度6機の隊形を作りエプロンに向かいます。